Guilt and shame are poor teachers

最近インスタグラムのアルゴリズムが育児系コンテンツを流してくるようになった。育児系といっても「子育てのコツ」方面の内容ではなく、新米の親に寄り添う方面のものを良く見る。

例えば「子育てを通して自分の子供時代の傷を癒しても良いんだよ」というメッセージを含んだものとか「いつも完璧な親でなくても大丈夫」とかそういう感じのやつ。

その中で、ある動画が目に止まった。30代前半とおぼしき男性が「僕は子供に向かって大人気なく怒りそうになっちゃったときに、こうやって自分をコントールしてます。」と語り始めた。

「イラっとした瞬間、自分をRoastするんです。」

Roast は米国では「いじる/からかう/煽る」というニュアンスで使われるスラング。

この男性によると「例えば朝の忙しい時間帯。三歳児が床に牛乳をこぼし、ついイラっとして声を荒げそうになったとき。心の中で(うわっー、三歳児相手にムキになってやんの、自分!牛乳ポリスかよ!www)みたいに煽りまくる。そうすると一瞬で我に返ることができます」だそう。

すごい!私も色んな局面でムキになりがちだから試してみよう!!と思って、全力で「いいね」を押した。んだけど、数秒考えたらちょっと悲しくなって、やっぱり「いいね」を取り消した。

罪悪感と羞恥心で自分をコントロールするなんて、悲しい。

だってさ、牛乳を床にぶち撒けられたら、焦るじゃん。優雅に時間と気持ちに余裕を持って仕事に行きたかったとしたら、掃除というタスクにリソース取られるなんて普通に悔しいじゃん。自分の「こうだったらいいのにな」が崩れてしまった時に残念に思うのは、当たり前じゃん。

もちろんそれを感情的に三歳児にぶつけるのは絶対に違うと思う。でも、そういう気持ちを「バッカじゃないのwww」と嘲笑って、その瞬間は欲しい結果を得られるかもしれないけど、長い眼で見たら何も解決してない所か、自分との関係、悪くなんないか…?などと悶々と考えた。

その数日後、わたしは “Women Talking” (ウーマン・トーキング 私たちの選択)という映画を鑑賞した。その中で、こんな引用があった。

”cardinal rules of early education. (is) ‘To work by love and so generate love. To habituate the mind to intellectual accuracy and truth. To excite imaginative power.’ […] ‘little is taught by contest or dispute, everything by sympathy and love.”

(早期教育の基本ルール。(それは)『愛を原動力に動き、愛を生み出すこと。的確さと真髄を捉えた知性と備えた思考を持つこと。想像力をかき立てること。コンテストや論争によって教えられることはほとんどなく、すべては共感と愛によって教えられる』。)

Samuel Taylor Coleridge によって書かれた ”Love, Hope, and Patience in Education” という詩の解釈らしい。

この詩は子供の教育について書かれたものだけど、大人の世界だっておんなじだと思うよ、私は。学びの原動力は、愛と共感であるべきだろ!

愛と共感、ってかなりアレ()な感じに聞こえるし、そんなの理想郷での話でしょ。って言いたくなる。けど実際、罪悪感・恥・恐怖心を使って調教できたとしても、それはあくまでも「罪悪感・恥・恐怖を避けるためだけ」にゴールを達成させてる(つまり、先述の例だと「自分を落ち着かせる」)ことになる。

簡単に言えば、”みっともない” から、やーめった。みたいなことじゃん。

確かに手っ取り早く結果は得られんだと思う。インスタグラムで見た彼が言ってたみたいに、一気に感情をクールダウンさせたい時とか、ちょっとその場しのぎ的に使うのは有用な手かもしれない。

だって朝の忙しい時間に子供が牛乳を床にぶち撒けてる中、ひとりで日記帳取り出して、(このできごとで私の満たされなかったニーズはなんだったのかと考えてみると…)なんて考えてられないだろうし。そういう時、自分を”Roast” するのは、俯瞰するための強行手段になり得る。

そうか、あの彼が動画で言いたかったのは結局「自分を俯瞰しようね」ってことだったのか。と今更気づく。

私も切羽詰まったとき自分をRoast することに頼ることがあるかも知れない。そしてそんな時は後から「ねえねえ、さっきはちょっと意地悪ないじり方してごめん。今から話せる?」と、自分の話を聞いてあげる時間も忘れたくないな、絶対に。

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